「ペアの先生と保育観が全く合わず、毎日顔を合わせるのが苦痛…」
「先輩が何でも勝手に決めてしまい、自分が担任としている意味がないように感じる」
乳児クラスや大規模な園で取り入れられている「複数担任制」は、先生同士で負担を分け合えるメリットがある一方で、人間関係の悩みを生み出す最大の要因でもあります。

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夫婦や恋人同士でも意見が食い違うのですから、年齢も経験も育ってきた環境も違う保育士同士が、1年間ずっと同じクラスを運営していく中で、意見が合わないのは当たり前のことです。
この記事では、ペアの先生と気まずい空気にならずに意見をすり合わせ、子どもたちのために協力し合える「スムーズな解決法」をご紹介します。

  • 「保育観の違い」は間違いではなく、単なる「アプローチの違い」である
  • 否定から入らない!「YES, AND話法」で相手の意見を受け止めつつ提案する
  • 話し合いは「子どもがいない場所」で、「感情」ではなく「事実」をベースに行う
  • どうしても合わない時は「役割分担」を明確にし、ビジネスライクに割り切る

意見が対立した時の「伝え方」のテクニック

ペアの先生と「壁面装飾のデザイン」から「子どもへの叱り方」まで、あらゆる場面で意見が対立した時、自分の意見を押し通そうとしたり、逆に我慢してすべて相手に従ったりするのは、どちらも健全な関係とは言えません。

魔法の「YES, AND(イエス・アンド)話法」

相手の意見と自分の意見が違った時、一番やってはいけないのが「でも、私は〇〇だと思います」「いや、それは違います」と、『否定の言葉(BUT)』で切り返すことです。否定された相手は感情的になり、意固地になってしまいます。

意見をすり合わせる時に非常に効果的なのが、「YES, AND(イエス・アンド)話法」です。
まずは「そうですね、〇〇先生の言う通り、そのやり方も素晴らしいですね!(YES=肯定)」と相手の意見を100%受け止めます。その後に、「そこに加えて(AND)、こういうアプローチを取り入れたら、もっと子どもたちが喜ぶと思うのですが、どうでしょうか?」と自分の意見を【追加の提案】として乗せるのです。
相手は「自分の意見が認められた」と自尊心が満たされているため、あなたの提案に対しても「なるほど、それもいいね」と柔軟に耳を貸してくれるようになります。

「私(アイ)メッセージ」で感情の衝突を避ける

もう一つ重要なのが、相手を主語にして責めない「私(アイ)メッセージ」を使うことです。
「〇〇先生のその叱り方は、子どもを萎縮させるからやめてください」と『相手(YOU)』を主語にして伝えると、完全な非難攻撃になってしまいます。

これを『私(I)』を主語に変換します。
「子どもが萎縮してしまっているのを見て、『私』は少し心配になりました。もう少しだけ優しいトーンで伝えてみるのはどうでしょうか?」
このように、「私はこう感じた」という事実を伝えるだけに留めることで、相手を責めることなく、冷静に改善を促すことができます。

話し合いの「場所」と「タイミング」の重要性

意見をすり合わせるための「話し合い(カンファレンス)」を行う際、内容と同じくらい気をつけなければならないのが、その話し合いを行う「環境設定」です。

子どもの前での議論は絶対にNG

「ちょっと〇〇先生、さっきの対応は何ですか!」と、子どもたちがいる保育室の中で、ペアの先生同士が言い合いや険悪な空気を出しているのは、保育において最もあってはならない光景です。
子どもたちは大人の空気に非常に敏感です。大好きな先生同士が喧嘩をしているのを見ると、子どもたちは強い不安と恐怖を感じ、クラス全体が落ち着きのない荒れた状態になってしまいます。

意見が食い違った時は、その場は一旦グッと飲み込み、子どもたちがお昼寝(午睡)に入って完全に静かになった後や、保育室から離れた休憩室など「子どもの目と耳が絶対に届かない場所」で、冷静に話し合う時間を設けてください。

「事実ベース」で話し合い、目的を共有する

話し合いの場では、「〇〇先生の言い方がキツくて嫌でした」という感情論ではなく、「おもちゃを取り合った時の対応について、お互いのやり方を統一しませんか?」という『事実と目的』をベースに話し合います。

「私たちの最終的な目標は、子どもたちが笑顔で安全に過ごせることですよね」という大前提(目的)を共有し、「そのために、お互いのやり方のどこを妥協して、どこを採用するか」という前向きな建設的議論に持っていくことが、プロの保育士としてのチームワークです。

究極の解決策は「完全な役割分担」

どれだけ話し合っても、どうしても保育観が平行線で交わらず、一緒に保育をするのが精神的に限界…という絶望的な相性の悪さも、現実には存在します。

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「ビジネスパートナー」と割り切る

そんな時は、「仲良しこよしで保育をする」という理想をきっぱりと捨てましょう。
「私たちは友達ではなく、クラスを運営するためのビジネスパートナーである」と完全に割り切り、徹底的な『役割分担』を行うことが最終手段になります。

「主活動(制作や設定保育)は〇〇先生が主導権を握る。その代わり、排泄や給食の介助、環境整備のバックアップは私が完璧にこなす」「午前中の活動は私がリードし、午後の活動は〇〇先生にお任せする」といったように、お互いの領域を明確に分割します。
自分のテリトリーには口出しさせず、相手のテリトリーには口出ししない。この「不可侵条約」を結ぶことで、無駄な衝突は激減し、1年間という期間をなんとか平和に乗り切ることができるようになります。

まとめ

複数担任制は、相性の良いペアに恵まれれば天国ですが、合わないペアになると本当に苦しい日々が続きますよね。
しかし、自分とは違う保育観を持つ先生と一緒に働くことは、「こういう考え方もあるんだな」と、あなた自身の保育の引き出しを広げる大きなチャンスでもあります。

「相手を変える」ことはできませんが、「自分の伝え方」や「受け止め方」を変えることは明日からでもできます。
子どもたちの笑顔のために、少しだけゲーム感覚で「どう伝えればこのペアの先生は動いてくれるかな?」と工夫しながら、プロとしてのチームワークを磨いていってくださいね。