【保育士のアンガーマネジメント】イライラした時に心を落ち着かせる6秒ルール
「何度注意しても同じ危険なことを繰り返す子どもに、ついカッとなってしまう」
「余裕がない日は、些細なことでもイライラしてしまい、後からひどく自己嫌悪に陥る」
保育士も感情を持った人間です。自分の思い通りに保育が進まなかったり、予測不可能な子どもの行動が続いたりすれば、怒りやイライラを感じるのはごく当然の感情です。
しかし、その怒りの感情のままに声を荒らげてしまっては、子どもとの信頼関係が崩れてしまいますし、何より先生自身が一番深く傷ついてしまいます。
保育現場で自分の感情を上手にコントロールし、冷静に対応するために役立つのが「アンガーマネジメント」の技術です。
この記事では、カッとなった瞬間に使える「6秒ルール」をはじめとする、保育士のための実践的なアンガーマネジメント術をご紹介します。
怒りのピークは「最初の6秒間」だけ
アンガーマネジメントの最も基本的なルールとしてよく言われるのが、人間の怒りの感情は、発生した瞬間から「最初の6秒間」がピークであり、それを過ぎると理性が働き始めて、徐々にクールダウンしていくという性質です。
保育現場で子どもに対してカッとなって「いい加減にして!」と怒鳴りそうになった時、この「魔の6秒間」だけ言葉を発するのを我慢できれば、取り返しのつかないような爆発や暴言はほぼ確実に防ぐことができるのです。
6秒をやり過ごすための具体的なアクション
「6秒間我慢する」と言葉で言うのは簡単ですが、怒りで沸騰している頭でじっと耐えるのは至難の業です。
そのため、カッときた瞬間に反射的に行う「自分なりの具体的なアクション」をあらかじめ決めておくことが重要です。
最もおすすめなのが、「カウントダウン法」です。心の中で「1、2、3、4、5、6」とゆっくり数えます。この時、少し頭を使うように「英語で数える」や「100から3ずつ引いていく(100、97、94…)」というルールにすると、脳が「計算」という別の作業に強制的に集中させられるため、怒りの感情からさらにスッと気を逸らすことができます。
また、「大丈夫、落ち着いて」「私は今怒っているな」と自分に言い聞かせる「コーピングマントラ(魔法の呪文)」を心の中で唱えながら、ゆっくりと深く息を吐き出す(深呼吸)のも非常に効果的です。
物理的に「視線を外す」テクニック
もう一つ、保育現場ですぐに使えるテクニックが「視覚情報を遮断する」という方法です。
イライラの原因となっている子ども(または散らかったおもちゃなど)をじっと見つめ続けていると、怒りの炎に次々と油が注がれてしまいます。
カッときたら、意図的に数秒間だけその対象から視線を外し、窓の外の景色を見たり、壁に貼ってある自分の作った可愛い壁面装飾を見つめたりしてみてください。あるいは、一度目をギュッと閉じるだけでも構いません。視覚からの刺激を一旦リセットすることで、感情の高ぶりは驚くほどスッと落ち着いていきます。
イライラの原因「べき(〜すべき)」を緩める
6秒ルールは「怒りが爆発するのを防ぐ」ための一時的な対処法ですが、根本的にイライラしにくい心を作るためには、自分の中にある価値観を見直す必要があります。
私たちがイライラする時、その根底には必ず「私の理想通りにいかなかった」という不満があります。
「子どもは先生の言うことを聞く【べき】」「給食は残さず食べる【べき】」「おもちゃは綺麗に片付ける【べき】」。
保育士として真面目で責任感が強い人ほど、自分の中のこの「べき」のハードルが高く、そして厳しく設定されています。子どもがその「べき」から外れた行動をとった時に、許容できずに強い怒りを感じてしまうのです。
「まあ、いっか」のストライクゾーンを広げる
このイライラを減らすためには、自分の中の「べき」のハードルを少しだけ下げて、心の中に「まあ、いっか」というグレーゾーン(許容範囲)を作ってあげることが最も効果的です。
「おもちゃは完璧に片付けるべき」というルールを、「まあ、今日は半分片付けられたし、明日もこの続きで遊ぶからいっか」と少しだけ緩めてみます。もちろん、命に関わる危険なことや、お友達を傷つける行為は絶対に妥協してはいけませんが、それ以外の「日常のちょっとした乱れ」に対しては、ストライクゾーンを広めに持っておきましょう。
この「まあ、いっか」の余裕が生まれるだけで、先生自身の心はずっと楽になり、イライラする回数は劇的に減っていきます。
怒る自分を責めない「自己受容」
最後に一番大切なことは、「イライラしてしまう自分を絶対に責めない」ことです。
保育士だって人間なのですから、睡眠不足の日や、プライベートで嫌なことがあった日は、いつもより心に余裕がなくなって当然です。
「また怒ってしまった。私は本当にダメな保育士だ」と自己嫌悪に陥るのではなく、「今日は疲れていたからイライラしちゃったな。でも、ちゃんと6秒我慢して手は出さなかった。私、偉い!」と、自分の感情を客観的に受け入れ(自己受容)、できている部分を褒めてあげてください。自分に優しくなれる先生は、必ず子どもたちにももっと優しくなれるはずです。
まとめ
アンガーマネジメントは、「絶対に怒らないロボットのような先生になる」ためのものではありません。
「怒る必要のあること」は適切に叱り、「怒る必要のないこと」には冷静に対処するための、自分と子どもを守るための素晴らしい技術です。
「あ、今私イライラしてるな」と自分の感情に気づき、客観視できるようになった時点で、あなたはもう十分にアンガーマネジメントの第一歩を踏み出しています。
6秒ルールを使って心を落ち着かせ、あなたらしい温かい笑顔で、明日も子どもたちと向き合ってくださいね。